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of Casa CABaN HAYAMA

Story vol.10
22, June 2026
テーブルに供されるのは、空間との調和を意識して表現された料理。舞台となるのは、大きな窓から光が差しこみ、葉山の海に溶けあうようなメインダイニングです。風景と心地よく呼応する、特別な食の体験が待っています。
葉山を抱く三浦半島の海と大地が育む恵みをはじめ、全国各地から届く厳選素材を鮮やかな一皿へと仕立てあげるシェフが何よりも重んじるのは、その鮮度。その日に収穫された野菜や水揚げされたばかりの魚は、最良の瞬間を逃さず皿の上に表現されます。イタリア・トスカーナ地方での修業を経て、東京の名店で料理長を務めた武田正宏シェフ。数年前に葉山の隣町へと移住してからは、四季を通じて畑で自らの手に土の匂いを馴染ませ、網元との対話を重ねながら、三浦半島の生産者や漁師と深い信頼関係を築いてきました。
「メインダイニングの料理で大切にしているのは、まず素材ありきで考えること。そのために意識しているのは『味の重心を軽くする』ことです。海を臨むこの空間では、じっくり煮込んだような、重さのある料理よりも、軽やかでフレッシュであることを大切にしたいと考えました。素材を生かし、味の重心を軽やかに整えることで、この風景に溶けこむような一皿を生み出せると思っています」
夏のメニューを彩るのは、佐島の網元から届くシラスと三浦産のズッキーニを合わせた手打ちのタリオリーニ。鮮やかなグリーンの色彩と、2種のズッキーニの食感が引き立てあう立体的な味わいです。また、薄切り生ハムをアクセントにした佐島産甘鯛の鱗焼きには、艶やかなアーティチョークのソースが芳醇なコクを添えます。さらに、香ばしさを纏わせ、繊細な火入れで柔らかさを両立させた佐島産メトウイカのグリルなど、三浦半島の海と山の自然の中に自ら身を置き、生産者に敬意を払う武田シェフだからこそ描ける、真の地産地消がここにあります。
「この土地の豊かな食材を活かしながら、海風に似合う、香り高く軽快な料理を追求していきたいです」
夕暮れ時。心地よい海風を感じながら、刻一刻と色彩を変える葉山の風景のなかで味わうその一皿は、ホテルでの滞在をさらに豊かで奥深いものへと導いてくれるはずです。

佐島産シラスと三浦産ズッキーニのタリオリーニ

武田シェフの手打ちパスタには、トスカーナ地方をはじめ、イタリア各地の郷土の技が息づく。

佐島産メトウイカのグリル

佐島産甘鯛の鱗焼き

陽光が差し込む開放的なキッチン。
海を臨むこの空間で、シェフたちが真摯に料理に向き合う。
Basement floorに佇む「あしたば」は、Casa CABaN HAYAMAの中にあって、静寂に包まれたもうひとつの世界です。扉の向こうに待っているのは、細部まで美しく整えられた、舞台のような和の空間。職人の美意識が息づくこの場所では、純和食の奥深い伝統の上に、革新というエッセンスを重ね合わせた一皿が供されます。
高級懐石店で経験を積んできた安藤祐紀料理長が目指すのは、京懐石をベースとしながらも、従来の和食から「削ぎ落とし」を実践することで、素材本来の輪郭を際立たせるスタイルです。研ぎ澄まされた出汁の一滴、繊細な包丁さばき。ひと月半という細やかなサイクルで献立を変え、季節の移ろいを皿の上に美しく描きだします。料理長は、地元食材への深い愛着を持ちながらも地域性だけに固執せず、常に品質と美味しさの最適なバランスを見極めて献立を構成していきます。
夏の献立に登場する、豊かな磯の香りを閉じ込めた柔らかな鮑や、出汁の中で美しく花開く鱧は、近隣の漁港で水揚げされたもの。「葉山周辺の海では、春の訪れを告げるワカメから、初夏のヒジキ、そして鮑と、季節ごとの豊かなサイクルがあります。また、夏には欠かすことのできない素材である鱧も、地元産のものは鮮度がとても良く、なにより、長距離輸送のタイムロスがないため骨が柔らかいのです」料理長の口から直接語られる、そんな素材への想いや、背景にある物語に耳を傾けられるのも、カウンター席ならではの醍醐味です。そして、静寂な空間に響く、鱧に精緻な骨切りを施すリズミカルな音や、炭火がはぜる微かな音さえもが、五感を刺激する特別な演出となります。
「あしたば」で表現する「削ぎ落とし」の美学は、素材の魅力を引きだすという、和食の本質へと立ち返る試み。一皿の中で際立たせたい食材をいかに味わっていただくかに重きを置き、主役の食材と向きあいます。
外界の喧騒から離れた地下の静けさのなか、美意識が宿る料理を味わうひと時。「あしたば」が創りあげる、洗練を極めた和食の世界を、心ゆくまでご堪能ください。

とうもろこし御飯

鮑 青柚子胡椒

天豆コロッケ

松阪牛と地鱧の出汁しゃぶ

静寂のなか、目の前で炭火がはぜる音が心地よく響く。